アスリートに特化したビジネススクールが、このほど、現役時やセカンドキャリアをサポートする講座をオンラインで開催した。
ビジネススクール「Athletes Business United TM」を運営する株式会社A.B.United（本社：大阪市北区）が実施したのは、「現役中も引退後も安心できるアスリートの『競技人生が変わる』資産運用術」。
これは、アスリートが抱える悩みの1つ、資産管理に焦点を当てたもので、同講座では「投資とギャンブルの違い」「インフレとは」「老後2000万円問題」などの講義・解説を展開。元フジテレビアナウンサー・田中大貴氏（フリーアナウンサー）の進行のもと、田中氏と同じ慶応義塾大学出身、元・野村證券の証券マンで、現在は株式会社Japan Asset Management（ジャパンアセットマネジメント）の代表取締役を務める堀江智生氏が、「アスリートが安心して現役・引退後も暮らすことのできる極意」を約2時間にわたって熱弁した。
なかでも、「上級者ほど大切にしている投資のセオリー」というテーマでは、小額からコツコツと資産を増やしていく「積立投資」、複利の効果を受けられる「長期投資」、様々な国や資産に投資する「分散投資」に分けて説明。参加者も熱心に耳を傾けていた。
Japan Asset Management社によると、スポーツにつきもののけがや病気を理由に選手生命が絶たれることで、突然収入源を失ってしまうかもしれないという不安感を抱えるアスリートは実に87パーセントにのぼる。また、お金の不安が理由で引退を考えたことのあるアスリートは3人に1人いるという。
自らも大学時代に関西大学体育会準硬式野球部に所属し、準硬式野球の学生日本代表という経歴を持つA.B.United社の代表取締役社長・中田仁之氏は、「アスリートたちはスポーツという厳しい世界で生きてきて、社会に出たときに真っ先に感じることは、『一般社会の方がずっと厳しい』という現実。しかしながら『忍耐力』『精神力』の面で大きく一般社会人を凌駕する能力を持っている者もいる。今後は、（アスリート出身の）優秀な人材が一般社会でさらに輝くよう、ネクスト（セカンド）キャリアを身に着けてもらうための支援や体制づくりをともに頑張っていきたい」と述べていた。
■ネクストキャリアで「思いのほか暗礁に乗りあげるアスリートが多いことに気付いた」（中田社長）
「アスリートを短期間でビジネスマンとして育成」する、株式会社A.B.Uinted（Athletes Business United）は、アスリートのセカンドキャリア＝ネクストキャリアを支援している。また、アスリートに限らず、若手ビジネスパーソンにビジネスの現場で必要な実学を提供すると同時に、「部下の仕事力を高めたい経営者」にも育成手法を提供している。
中田氏は、「子どものころから熱中し、没頭してきたスポーツには年齢や体力、気力など様々な要因で『引退』の二文字が必ずついてまわるもの。一般的に大成功し、世界的・国民的ヒーロー・ヒロインに登り詰めたオリンピアンやプロアスリートたちであってもそれは同じ。幼い頃から『スポーツだけ』を生活の大部分に置き、そのほかの事は少々おざなりになっていないか？ 前述の『引退』を迎え、次の仕事に就く生業をどのようにして生活しようか？ そうした課題に直面したとき、思いのほか暗礁に乗りあげるアスリートが多いことに気付いた」という。
同社では、◆アスリートに特化したビジネススクールの運営、◆アスリートのセカンドキャリアに関する就職支援等、◆営業力、仕事力を向上させることに関する研修、セミナーの企画・運営などを、対面やオンラインを通じて行っている。
今回、オンライン講義で総合司会プロデューサーを務めた田中氏は、同社の取締役に名を連ねる1人。兵庫・小野高校を経て、慶大では硬式野球部で活躍。4年時には東京六大学リーグでホームラン王に輝く経歴を持つ。卒業後、フジテレビで局アナとして勤務し、数々のスポーツ実況をこなしただけでなく、『情報プレゼンター とくダネ！』などの番組の進行を通じて、お茶の間の人気を博した。現在は、フリーアナウンサーとして活躍するにとどまらず、自身の会社を経営する、いわばアスリート出身起業家でもある。
田中氏は「現在は前職のアナウンサーという人前でしゃべる仕事には全く固執していない。むしろ、それ以外の仕事の方が多い。しかしながら前職で知り合えた人脈も多いと思われるので、それをいかしたネクストキャリアを構築している最中」と語っていた。
取材・文＝黒川良彦
写真提供：A.B.United
【「A.B.United」公式HP】
【「Japan Asset Management」公式HP】
